もし人間が脱皮する生き物だったら?――内骨格と外骨格の不思議

突然ですが、もし人間が昆虫のように「脱皮」する生き物だったら、どうなると思いますか?「そろそろ脱皮の時期なので、明日は仕事を休みます」そんな会話が当たり前の世の中になっていたかもしれません。今回は、そんな少し変わった想像から、人間の身体について考えてみたいと思います。

昆虫やエビ・カニは「外骨格」

私たち人間の身体には、身体の内側に骨があります。これを「内骨格」といいます。一方、昆虫やエビ、カニなどは、身体の外側に硬い殻を持っています。こちらは「外骨格」です。

昆虫の身体を思い浮かべてみてください。硬い殻が身体を包み、その内側に筋肉などが存在しています。この外骨格は、身体を守る「鎧」のような役割を果たしています。

実は、これはかなり優れた仕組みです。外側が硬いので、身体を守ることができます。ところが、一つ大きな問題があります。**身体が大きくなると、外側の殻が邪魔になるのです。**そこで昆虫は「脱皮」をします。古い外骨格を脱ぎ、新しい外骨格を作ることで身体を大きくしていきます。

では、もし人間が外骨格だったら?

ここで想像してみましょう。もし人間も昆虫のように外骨格を持っていたら……。

子どもの頃は小さな身体に合わせた外骨格。成長するにつれて、「なんだか最近、身体がきついな」となります。そしてある日、**「そろそろ脱皮しなければ!」**となるわけです。

古い殻を脱ぎ、新しい大きな殻に入れ替える。脱皮したばかりの身体は、きっと大変でしょう。新しい外骨格が硬くなるまで、身体は無防備です。

もし人間がそんな身体だったら、「明日は脱皮なので仕事を休みます」という人がいても、誰も不思議に思わないでしょう。

病院にも、「脱皮後の腰痛」「脱皮に失敗した肩こり」なんて診療科があったかもしれません。

……もちろん、これは想像の話です。

でも、ここで一つ疑問が生まれます。

なぜ人間は、昆虫のような外骨格ではなく、内骨格なのでしょうか?

人間は「内骨格」だから脱皮しなくていい

人間や、犬・猫などの哺乳類、そして魚類などは基本的に内骨格を持っています。骨が身体の中にあるので、身体が成長しても「身体の外側の硬い殻」を丸ごと交換する必要がありません。

これには大きなメリットがあります。骨格が身体の内部にあることで、身体そのものを大きくしながら、筋肉や関節を複雑に発達させることができます。

人間の身体には、背骨、骨盤、肋骨、肩甲骨、腕の骨、脚の骨など、たくさんの骨があります。そして、それぞれが関節でつながり、筋肉が骨に付着しています。

筋肉が縮むことで骨が動き、関節を動かす。その組み合わせによって、私たちは歩いたり、走ったり、腕を上げたり、身体をひねったりすることができます。

つまり骨は、単に身体を支えている「硬い棒」ではありません。筋肉と一緒になって、身体を動かすための仕組みでもあるのです。

内骨格には「成長しやすい」というメリットもある

外骨格の場合、硬い殻そのものが身体の大きさを決めることになります。だから成長するためには、脱皮が必要です。

一方、内骨格なら、骨そのものが成長していくことで身体を大きくできます。

人間が子どもから大人になるまで、何度も脱皮する必要がないのも、考えてみればすごいことです。

もし人間にも脱皮が必要だったら、人生は今よりずっと大変だったかもしれません。

ところで、カメの甲羅は?

ここでちょっと面白い例があります。カメを見ると、「これは外骨格じゃないの?」と思うかもしれません。

ところが、カメの甲羅は単純な「外側の殻」ではありません。甲羅は肋骨や背骨などが変化してできたもので、身体の骨格と深くつながっています。

つまり、見た目は「外側の鎧」のようでも、私たちが思っているような昆虫の外骨格とは違うのです。

生き物の身体は、調べてみるとなかなか奥が深いものです。

骨は「身体を支えるもの」だけではない

私たちは普段、「骨」というと身体を支えるものだと考えがちです。もちろん、それは骨の重要な役割です。

しかし、それだけではありません。

骨があり、関節があり、そこに筋肉が付着しているからこそ、人間は複雑な動きをすることができます。

例えば歩くという動作一つを考えても、脚の骨だけが動いているわけではありません。骨盤、背骨、股関節、膝、足首など、身体のさまざまな部分が関係しています。

身体は、部品を一つずつバラバラに動かしているのではなく、全体がつながって動いているのです。

「腰が痛い=腰だけの問題」とは限らない

これは身体の不調を考えるときにも大切な視点です。

例えば腰が痛いとき、「腰が痛いのだから、腰だけを見ればいい」とは限りません。

骨盤や股関節、背中、脚などの動きが関係していることもあります。

身体は一つの構造としてつながっているからです。

人間が内骨格を持っているという、一見すると生物学の雑学のような話も、よく考えてみると私たちの身体の動きにつながっています。

人間が脱皮しなくてよかった

もし人間が昆虫のように外骨格を持っていたら、私たちの生活は今とはまったく違っていたでしょう。

「今日は脱皮の日だから休みます」

「新しい殻がまだ硬くなっていないので、激しい運動は禁止です」

そんな世界になっていたかもしれません。

そう考えると、身体の内側に骨格があることは、私たちにとってとても便利な仕組みなのかもしれません。

普段は意識することのない「骨」。

でも、骨・関節・筋肉が協力して働いているからこそ、私たちは何気なく歩き、立ち、腕を動かし、身体をひねることができます。

身体は、思っている以上に精巧にできています。

たまには昆虫の脱皮を眺めながら、「人間が脱皮する生き物じゃなくて、本当によかったな」と、自分の身体の仕組みに思いを巡らせてみるのも面白いかもしれません。


上福岡鍼灸整骨院では、肩こり・腰痛を中心に、お身体の状態を全体から考えた施術を行っています。

「痛いところだけが原因なのかな?」と思われる方も、どうぞお気軽にご相談ください。